「虫歯があると言われたのに、すぐに治療しなくて大丈夫?!」このように思われる方もいるかもしれません。

当院では、虫歯が見つかったからといって、すべてをすぐに削って治療するわけではありません。そこには理由があります。

たとえば健康診断で内臓に小さな病気が見つかったとき、すぐに処置する場合もあれば、その変化を注意深く見守る場合もあります。大切なのは、「見つかったかどうか」だけではなく、それが今後どのように変化する可能性があるかを考えることです。

虫歯についても、私は同じような視点が必要だと思っています。

虫歯は、ある日突然できるものではありません。食生活、歯磨き、唾液の状態、歯の形や位置など、さまざまな条件が重なる中で進行します。そのため、小さな虫歯が見つかっても、すぐに削るのではなく、原因や進行する可能性を調べ、経過を確認しながら管理できる場合があります。

では、なぜ削ることを急がないのでしょうか。

一度削った歯は、元の歯に戻すことはできません。そして、治療した歯は数年に1度の再治療が必要となる場合が多くあります。(3年くらいで再治療が必要となる場合もあれば、40年以上長持ちする場合もあり、材料によって再治療の平均的な頻度は変わります。)

だからこそ、治療する必要がある虫歯は長持ちする可能性の高い材料できちんと治療し、削らずに管理できるものはできるだけ長く注意深く見守る。
どちらかを選ぶことと、そのタイミングを見極めることが大切だと考えています。

もちろん、経過観察は「何もしない」という意味ではありません。

日々の歯磨きや食生活を確認し、必要な予防処置を行いながら、レントゲンと目視で定期的に変化を見ていきます。進行が認められれば、その時点で治療を検討する必要があります。

当院では、初期虫歯が見つかったものの、ほとんど進行が認められないため10年も治療をせずに経過を追えているケースもあります。未来は誰にも分からないからこそ、やるべきことをしながら、時間に答えを出してもらう。これが最も確実な診断方法だと考えています。