診療室イメージ

虫歯から歯を守るために

生涯トータルでダメージを少なく

虫歯治療中当院の虫歯治療のコンセプトはM.I.(ミニマルインターベンション/低侵襲治療)。「虫歯治療における歯へのダメージを最小限に抑える」という考え方です。ただし、その治療だけ低侵襲にすればよいわけではなく、この先数十年、トータルで低侵襲である必要があります。

そのために、虫歯になりにくいお口の環境づくり、虫歯が再発しにくい適切な治療、治療後の定期的なメインテナンスにより、生涯にわたって歯へのダメージを最小限に抑えようという考えのもとで行っています。

痛みを抑える麻酔への工夫

痛みのない、無痛のイメージ虫歯治療時には、痛みを抑えるために基本的に局所麻酔を行います。しかし、患者さんの中には痛みを抑える「麻酔処置自体が怖い」という方も少なくありません。そこで当院では、麻酔をする前の表面麻酔をしっかりと効かせることで、ほとんど痛みのない麻酔をすることが可能です。事実、多くの患者さんが、麻酔の注射をされたことに気付かず、「本当に注射したの?」と驚いているくらいです。

また、アメリカ人やヨーロッパ人は日本人と比べ骨が硬く、麻酔を効かせることが困難です。院長はそのような状況でトレーニングを3年間受けたので、麻酔の効果を高めるテクニックがあります。

虫歯とは

虫歯菌の出す酸によって、歯が軟らかくなってしまう病気です。

一般には、歯が黒くなる病気とか、歯に穴があく病気として考えている方が多いようです。また、虫歯になれば歯を削らなくてはならないと考ている方も多いようです。どちらも間違いではありませんが、色が黒くても、穴があいていても、歯が柔らなくなっている範囲が極めて小さなものならば、削る必要のない虫歯もあります。

反対に、黒くなくても、穴があいていなくても、歯が軟らかくなってしまったら、それは虫歯であり、適切に取り除く必要があります。なぜなら軟らかい部分には、虫歯菌が住み着き、徐々に歯を壊していくからです。自然治癒することはありません。

進行性の色が薄い虫歯
色は薄いが進行性の虫歯
進行性ではない黒い虫歯
進行性ではない黒い虫歯
詰めものの2次虫歯と接触点の虫歯
詰めものの2次虫歯と接触点の虫歯

虫歯の治療手順

診査・診断

虫歯診断のポイントは、治療が必要な大きさであるか、その虫歯が進行性であるか、を見極めることです。

視診 & X線検査(デジタルレントゲン)

虫歯治療の歯科医師虫歯検査の手段として有名なものに、レーザー光を用いて虫歯を測定する「ダイアグノデント」がありますが、実際には「トレーニングを受けた歯科医師による診断のほうが確実である」という論文が出ています。これには理由があり、ダイアグノデントは虫歯でない歯を虫歯と診断すること(False-positive) があるため、ダイアグノデントのみに頼って診療した場合、本来治療しなくても良い歯を治療する(オーバートリートメントの)危険性があります。

そのため当院の虫歯検診は、特別な訓練を受けた歯科医師による視診が基本です。さらに必要に応じて、被ばく量の少ないデジタルレントゲン撮影による診断も行います。

虫歯が進行すると、しみる症状や痛みが出てきますが、歯の破折、歯ぐきの腫れ、知覚過敏などの病状でも、しみる症状や痛みを発症します。それらと虫歯を見分けることも大切です。

参考文献:J Lasers Med Sci. 2013 Autumn; 4(4): 159–167. Evaluation of Accuracy of DIAGNOdent in Diagnosis of Primary and Secondary Caries in Comparison to Conventional Methods; Hanieh Nokhbatolfoghahaie, Marzieh Alikhasi, Nasim Chiniforush, Farzaneh Khoei, Nassimeh Safavi, and Behnoush Yaghoub Zadeh

Acta Odontol Scand. 2008 Feb;66(1):13-7. Effect of dental material fluorescence on DIAGNOdent readings. Hitij T1, Fidler A.

虫歯の深さ別、当院の治療ガイドライン

・初期の虫歯

表層のみの歯の白濁、穴があってもドリルサイズより小さな虫歯は、すぐに削る必要はありません。

歯磨きの向上、食生活習慣のカウンセリング、フッ素・カルシウムペースト利用、かみ合わせの調整等を行い、虫歯の進行をできるだけ遅らせ、実際の治療を先延ばしできるよう、予防処置を行います。

予防歯科へ


・中期の虫歯

歯の内部まで虫歯が進行してきたが、虫歯と神経までの距離が十分にある場合は、虫歯部分を丁寧に取り除き、修復します。

虫歯の修復手順へ


・進行した虫歯

虫歯が神経に近くまで広がる場合で、症状はない、もしくは一時的な軽度のしみる症状の場合。

そのような虫歯は、自覚症状が軽度でも、すでに神経の中まで虫歯菌が侵入していることがあるので、慎重に治療する必要があります。また、軽度のしみる症状ならば、お薬を付けてしみる症状(歯の神経の興奮)が止まるかを確認します。

具体的には、虫歯を丁寧に取り除き、神経に近い部分があれば、神経を保護するお薬を付けて、数ヶ月経過を追います。治療後に痛みが出たり、レントゲンで神経にトラブルがないことを確認したら、神経を残したまま虫歯の修復処置を行います。

もし、治療後に強い痛みが続いたり、しみる症状が治らない、悪化する場合は、根の中の消毒治療(>根管治療)が必要になることもあります。


・重度に進行した虫歯

虫歯と神経がつながっており、しみる症状が長く続く、大きな穴やズキズキとした痛みがある場合。

歯が大きく欠けてしまったり、数十秒から数分持続する痛みがある場合は、神経に虫歯菌が侵入している可能性が強くなります。その場合は、痛みを止めるため、歯をできるだけ延命させるために、根の中の消毒治療が必要です。

ズキズキとした痛みは、虫歯以外でも起こる可能性があります。原因を見極めることが大切です。

根管治療へ


虫歯治療は3段階

虫歯治療は、削って型を取って、というイメージがあるかも知れませんが、治療手順は、次の3段階に分かれています。

第1段階 虫歯になりにくい口内環境の整備

虫歯になるには必ず理由があります。

甘い物が好きなのかも知れません。歯磨きがうまく出ていないのかも知れません。歯ぎしり、食いしばりがあるのかも知れません。そのような理由を歯科衛生士とともに見つけ出し、1つずつ出来ることから改善していきます。

また、虫歯菌や歯石は、虫歯の再発を引き起こすだけでなく、詰めものの精度を悪くしたり、接着剤の性能を落としたり、修復物の寿命を縮め、短期間で虫歯治療を繰り返す原因となってしまいます。虫歯を治療する前に、お口の中から虫歯菌の数を減らしておくことは、自分の歯をできるだけ長く使いたいと考える場合には、最も大切なことです。

第2段階 虫歯を取り除く

ラバーダムを使って虫歯を治療する口内環境が改善してきたら、次のステップに進みます。

まず最初は、虫歯で軟らかくなってしまった部分「= 感染歯質」だけを丁寧に取り除きます。ここでは実際に歯を削りますが、歯を削る量は、歯医者が決めるのではなく、虫歯の大きさによって決定されます

 

第3段階 虫歯を取り除いた穴を修復

コンポジットレジンによる虫歯治療修復法や詰めものの設計は、健康な歯がどの位置に、どのくらい残っているかによって最終決定します。ご自分では小さく感じている虫歯であっても、被せものが必要になる場合もありますし、大きな穴があいていても、詰めもので修復できる場合もあります。

・健康な歯質がたくさん残っている場合

虫歯部分だけを小さく取り除き、つめものを入れて修復します。

□ 治療法

・ダイレクトボンディング (コンポジットレジン)
・ゴールドフォイル

・健康な歯質がある程度残っている場合

かみ合わせる力は、人間の体重とほぼ同じくらいと言われています。虫歯が広がり、歯に薄いところがある場所は、その部分が割れないように保護をして、かみ合わせの力に耐えられるように治します。なぜなら、歯が割れてしまうと、歯を残せなくなる可能性があるから。健康な歯をできるだけ削らないことは誰でもできます。しかし、薄い歯を残せるかどうかを判断するためにはトレーニングが必要です。歯が割れるリスクは歯を長く残すために真剣に考える必要があります。

□ 治療法

・型どりして詰める(インレー)
・型どりして歯の一部を覆う(アンレー)

・健康な歯質が少ない場合

虫歯が大きく、歯に薄い部分が多い場合は、歯が割れないようにするために、覆って保護する必要があります。また、歯が大きく欠けている場合には、かぶせもので歯の形を回復する必要があります。

□ 治療法

・型どりして、かぶせる(クラウン)

二次虫歯

虫歯を治した歯に、生涯トラブルが起こらなければ、それが最良の虫歯治療であると思います。ところが、詰めものや被せものと、歯の境界線から虫歯は再発します。事実、歯科医院で行われている虫歯治療のほとんどが、この二次虫歯の再治療です。

二次虫歯を減らすには

当院では、この二次虫歯の発生をできるだけ抑えられるよう努力しています。

二次虫歯や根の虫歯

  • 食生活や歯ブラシのアドバイスを通して、毎日のホームケアをサポートし、虫歯になりにくい口内環境を整える。
  • メインテナンスにより、磨き残しを減らし、お口の中の細菌を減らす。
  • 定期的なかみ合わせのチェックを行い、ひとつの歯に過剰な負担がかからないようにする。
  • ドクターの技術を引き出せる、品質の良い素材や上手な技工士を選び、精度の良い治療を選ぶ。

虫歯の修復方法

当院では、治療後も長く健康な状態を維持していただける虫歯治療を心がけています。こちらでは当院の行うおもな虫歯の修復法についてご紹介します。

ダイレクトボンディングによる虫歯治療

コンポジットレジンによる虫歯治療現在では、虫歯だけを丁寧に取り除き、コンポジットレジンという材料を削った部分に直接詰める「ダイレクトボンディング」という方法で、小さく接着修復することができるようになりました。

基本的に歯と同じ色をしているため、治したところが目立ちませんし、治療は1回のみ、1~2時間で完了します。

ダイレクトボンディングについて(詳細)ゴールドによる虫歯治療(金修復)

直接ゴールドを詰める、ゴールドフォイル(金箔充填)

金箔による虫歯治療数ある虫歯治療の中でも、最も長持ちする可能性の高い治療は、金箔(ゴールドフォイル)を用いた治療です。金箔充填には、二次虫歯の最大の原因となるセメント層がありません。金泊と歯が直接、緊密に触れ合っているため、適切に修復された金箔充填では、金箔と歯の間から虫歯菌が侵入できません。また、時間の経過とともに、セメントが溶け出して、二次虫歯になることがありません。

ゴールドフォイルは、歯科医師に技術トレーニングが必要で習得に努力と時間が必要なこと、加えて”金色を敬遠する患者さんが増えてきたこと”(金箔を学ばない理由としては最適です)などから、日本では金箔充填による治療を提供できる歯科医師は、ほとんどおりません。しかしながら、ゴールドフォイルよりも長持ちする治療は、まだ登場していませんので、歯を長く残すことを希望する方には、最良の選択となります。

●ゴールドフォイルの治療手順
  1. ラバーダムをかけ、唾液や滲出液から歯を守ります。
  2. ラバーダムをかけられない場合は、基本的に、金箔充填を行うことはできません。
  3. 丸く調整した金箔を、虫歯を削った穴の中に直接詰めていきます。
  4. 歯と一体化させるように研磨して仕上げます。

ゴールドフォイルによる虫歯治療

型どりしてゴールドを作り、はめ込むインレー(鋳造修復)

ゴールドインレー虫歯が大きく進行してしまった場合や再治療などで歯を大きく削ってしまった場合は、もっとも再治療のリスクが低い方法として、ゴールド(金)による治療が第一の選択になります。古くから虫歯治療に用いられているゴールドは、治療技術が発達した現在でも、もっとも長持ちする治療法です。再治療のリスクを抑え、より長く自分の歯を残したい場合、ゴールドより優れた治療法はありません。

ゴールドインレー 正面
※上の写真を正面から見た状態です

ゴールドは薄く作成しても折れたり割れたりせず、しっかりと噛み合わせを支えることができます。また、歯と同じ硬さで、歯と同じように熱膨張し、腐蝕せず、プラークを集めず、装着した当日の状態を、安定して長期間保ち続けることが可能です。ただし、ゴールドにも欠点があります。

●ゴールドインレーの治療手順(1日目 治療時間の目安:約1時間30分)
  1. ラバーダムをかけ、唾液や滲出液から歯を守ります。
  2. 虫歯部分だけを、う蝕検知液を用いて丁寧に取り除きます。
  3. 神経に近い部分があれば、保護するお薬をつけます。
  4. ゴールドがぴったり入るように、歯の薄い部分が割れないように形を整えます。
  5. 型どりをして、仮止めを入れます。
●ゴールドインレーの治療手順(2日目 治療時間の目安:約1時間)
  1. ラバーダムをかけ、唾液や滲出液から歯を守ります。
  2. できあがってきたゴールドの詰めものを、調整後に装着します。
  3. ゴールドと歯の境界線を、専用の器具で一体化させます。
  4. ラバーダムを外し、かみ合わせの確認・調整を行います。

●ゴールドのメリット

  1. 圧倒的な長寿命
  2. 生涯持つ可能性すらある

●ゴールドのデメリット

  1. 銀歯と比べ、金はお口の中ではさほど目立たないが、歯の色ではないため、前歯には向かない
  2. 治療費が高額になる(ただし、長期間使える可能性を考慮すれば、歯を失ってからインプラントを選ぶより、遥かに安い、という考え方もできる)
  3. 長持ちする適切なゴールド治療を行うには、相応の技術と知識が必要である
    当院では、ゴールドを適切に取り扱い、安定した結果を出すために、世界で唯一のゴールド修復学会「タッカースタディクラブ」で、継続したトレーニングを続けています。

虫歯治療にゴールドを選ぶ理由(タッカージャパンサイトへリンク)

参考:タッカースタディクラブとは

タッカースタディクラブロゴタッカースタディクラブは、ゴールド治療を確立したリチャード V.タッカー先生の治療法を学びたいドクターたちにより1976年にスタートした勉強会です。恐らく世界で唯一の臨床実習を行っている勉強会であり、最高品質の歯の保存治療を追及する国際的な歯科医師の集まりでもあります。現在、アメリカ・カナダ・イタリア・ドイツ・日本の6ヶ国に組織があり、約400人のメンバーが世界最良の保存治療を研究しています。メンバーには大学教授・講師、歯科学会の会長経験者、次期会長候補者なども多く在籍し、アメリカ・カナダの虫歯治療において最も権威ある学会のひとつです。

清水雄一郎 虫歯治療の講演中
タッカー先生が確立したゴールド治療のテクニックは、術後40年で94.1%が問題なく使えているという素晴らしい結果を残しており(※文献:J Esthet Restor Dent. 2004;16(3):194-204. Retrospective clinical evaluation of 1,314 cast gold restorations in service from 1 to 52 years. Donovan T1, Simonsen RJ, Guertin G, Tucker RV.)アメリカ留学中、この技術に感銘を受けた当院院長・清水は、帰国後にアジア地区初のタッカースタディクラブをここ日本で設立しました。最高品質の虫歯治療という考え方をさまざまな場所で講演し、歯科医師の教育にも携わっています。

ひとりひとり違う歯の形に対して、常に理想的なゴールド治療を行うためには、継続した技術指導を受けることが、非常に大切です。日本支部でも、タッカー先生の哲学にのっとり、年2回、30~40年という経験があり、30~40年と長持ちしている治療を行ってきた経験を持つ世界トップレベルの指導医を海外から招き、継続した臨床研修を行っています。これにより、習得が難しいゴールドの治療技術を日本においても確かなものにし、向上させるサポートを行っています。

セラミックスによる虫歯治療

セラミックスによる虫歯治療近年では、歯に見た目の美しさを求め、金属色を見せたくないという方も増えてきました。こうした方におすすめなのが、セラミックスを使った治療です。セラミックスを用いることで、ゴールドにはない歯の自然な透明感を再現し、ほとんど自分の歯と見分けが付かないように修復することができます。

最近では“寿命”の短い低品質なセラミックス素材も出回っているようですが、当院では、学術論文によって支持され、実際に結果を出している確実性の高い材料・技術で治療を行います。噛み合わせの調整など、装着後のメインテナンスもきちんと対応しますので安心してお任せください。

●セラミックス治療のメリット

  1. 自分の歯と見分けが付かないほどの審美性
  2. 歯と同じ色の治療法の中では長寿命

●セラミックス治療のデメリット

  1. セラミックス素材は歯よりも硬いため、割れたり反対の歯をすり減らしたりする危険性がある
  2. 定期的に噛み合わせの調整が必要
  3. マウスピースを使って、反対の歯を守らなければならない場合もある

当院では、ゴールド治療の技術をセラミックス治療にも応用しています。できるかぎりやり直しの少ないセラミックス修復を提供いたします。

材料・テクニックへの“こだわり”

保険診療では、限られた財源の中で最大限の医療を行うことが求められます。当院は、厚生労働省指定の保険医療機関ですから、保険診療であっても手を抜かず、国のルールに則り虫歯治療を行うことをお約束しています。その一方で、保険診療の制約を外すことによって、歯科医師の技術・知識をさらに引き出せるような材料を選ぶことが可能になります。こちらでは、その一部をご紹介します。

高精度シリコンによる型どり

シリコンによる虫歯の型どり 寒天による虫歯の型どり
最初の画像は虫歯を削った部分と、健康な歯の境目がきちんと取り込まれています。
次の画像は一般的に保険診療で使用される寒天で型取りした物です。歯と歯ぐきの隙間(歯肉溝)まで、型どり材料が流れにくいため、境界が不明瞭になりがちであることが分かります。

真空練和による超硬模型

気泡の入った石膏表面 真空練和による精密な石膏模型精密な虫歯治療用模型最初の画像は硬石膏を手で練ったものの切断面です。よく見ると小さな気泡がたくさん入っています。目には見えないような小さな気泡は、一般的な歯科治療ではうやむやにされてしまうことが多いのです。しかし、1/100ミリを追求する歯科治療の世界では、その小さな気泡が大きな誤差となることがあります。真ん中の画像は超硬石膏を真空状態で練ったものの切断面です。気泡が全く入らないため、精度が高い模型ができあがります。最後は気泡がなく適切に作成された模型の写真です。

ラバーダムを使用した虫歯治療

ラバーダムを使った虫歯治療

ラバーダムは薄いゴムのシートで、治療中の患部以外の箇所を覆い治療をします。治療中に唾液の中の虫歯菌が患部に入り込み、感染することを防ぎます。アメリカ・ヨーロッパのトップレベルと呼ばれる先生は当たり前のように使用しており、当院でも虫歯治療、根管治療の際には使用しています。ラバーダムを使用するかしないかで治療の成功率は大きく変わると言われています。

●ラバーダムのメリット

  1. 治療器具から、頬・舌を守る
  2. 削った虫歯や金属を飲み込まない
  3. 唾液(細菌)・歯肉溝滲出液から、治療中の歯を守る
  4. 神経に近い虫歯でも、神経を残せる可能性が上がる
  5. 治療時間の短縮
  6. 治療の精度・確実性が上がる

●ラバーダムのデメリット

  1. 患者さんの理解が必要
  2. 技術のある歯科医しか取り扱えない

ミニマルインターベンション(M.I.コンセプト)とは

ミニマルインターベンションとは、「最小の治療手段」という意味で、比較的新しい歯学の考え方です。最小の治療手段と聞くと「小さく削って小さく詰める」ということが浮かぶかも知れませんが、実際はそれだけではありません。

日本には、小さく詰める材料を売り込むために、メーカー主導で持ち込まれた考え方なので、歯科医師ですら勘違いしていることが多いのが現状です。

本当のM.I.は、下記の5ステップを通して虫歯治療を減らし、「生涯にわたり虫歯や治療の侵襲から歯を守ろう」という、とても大きな考え方です。

1. 口内の環境改善

虫歯は、虫歯菌による感染症です。ですから、虫歯菌の対策を一番最初に考えます。歯科衛生士によるクリーニングや、ご家庭での歯磨き、糖質の摂取に関してお話を伺い、改善案を提案していきます。

虫歯菌が減ると、治療の精度も向上します。

2. 患者さんの知識向上

なぜ、虫歯になるのか?

虫歯という病気を知ることは大切です。原因・対策・予防法をひとり1人違う状況に合わせて、分かりやすく説明するよう努めます。認定資格を持つ歯科医師と、国家資格である歯科衛生士がチームで診療に当たります。

3. 初期虫歯の進行予防

初期虫歯の予防では、唾液が重要な役割を果たします。歯が白濁しただけの表層虫歯は、フッ素やアパタイト剤で進行を止めたり、再石灰化させて、削らずに済むことがあります。

虫歯の進行が止まっているかを確認するため、定期的なメインテナンスで経過を追うことが必須です。

4. 虫歯で穴があいた部分の修復

歯を削ることは、実際に虫歯が進行し、歯に穴があいている場合のみ行います。例えば、進行性の虫歯であったり、すでに自然治癒しない程に大きくなっている場合です。

最初のアプローチは、虫歯の部分だけを取り除き、小さく修復する方法です。この治療法は歯を削る量が小さい反面、かみ合わせのチカラに長期的(年単位)に耐えられない可能性が高く、つめものが大きくなるほど平均寿命が短くなる傾向があります。

平均寿命の短い治療は、結果として歯を失うことにつながりますから、かみ合わせ部分を大きく修復する場合は、再治療を避けるためゴールドやセラミックスといった、10年単位で長持ちする可能性が高い材料を選ぶようにします。

5. 再発した虫歯の再治療

虫歯の再発は、どれほどに予防をしたとしても、避けられない場合もあります。つめもの周囲の虫歯の再発に対して、やみくもに再治療を繰り返せば、歯を削る回数が多くなり、結果として自分の歯を失ってしまいます。ですから、本当に小さい虫歯で再治療を行うのは良くありません。しかし、進行する虫歯を放置するのは、もっと良くありません。

再治療のタイミングは、歯科医師と十分に相談して決定します。再治療を行う際は、虫歯が再発しにくい材料を選ぶことも大切です。

参考文献:Tyas M J, Anusavice K J, Frencken J E, Mount G J. Minimal Intervention Dentistry, A Review. FDI Commission Project 1-97. Int Dent J 2000; 50: 1-12